金融工学の計算(2)〜連続複利のディスカウントファクター(DF):理論編その2

前回、年複数回の利払いがある場合のDFについて、年n回の利払いがある場合は、

 DF = (1+\frac{r}{n})^{-nt}

と表せるところまでやりました。

では、この利払い回数を限りなく多くした場合(あまり現実的ではないですが)どうなるでしょう。

 \lim_{n\to\infty} \left( 1+\frac{r}{n} \right)^{-nt} = \lim_{n\to\infty} \left( 1+\frac{r}{n} \right)^{n(-t)}

ここで、 \lim_{n\to\infty}\left(1+\frac{r}{n} \right)^{n}は、自然対数の底の定義  \lim_{n\to\infty} \left( 1+\frac{1}{n} \right) ^{n}変形で、 \lim_{n \to \infty} \left(1+\frac{r}{n} \right) ^{n} = e^r

ですので、

 \lim_{n\to\infty} \left( 1+\frac{r}{n} \right) ^{n(-t)} = e^{-rt}

となります。これが、連続複利のディスカウントファクター、といわれるものです。すごくシンプルになりましたね。

なぜ、ディスカウントファクターをこのような形で表すかと言うと、DFは金融工学計算の要なので、指数計算や微積分が簡単になるe(ネイピア数)で表せると、計算が便利になるのです。

では、この式を次回からRubyHaskellで表現してみることにします。